ハート泥棒

 


 

「よっしゃ!リボンゲットぉっ!あと頼んだぜっ!エドガー!!」
盗品のリボンを握り締めながら、ロックが叫ぶ。
「まかせろっ!」
応えると同時に、エドガーは回転のこぎりの電源を入れる。
『ドルルルルッ』っと聞きなれた物騒な音が鳴り響く。
「いっけー!色男っ!!」
リルムが楽しそうに叫ぶと同時に、エドガーは地を蹴った・・・。

戦いが終り、勝利に沸くパーティーの中で、
何も言わずにたたずんでいる男が1人・・・。
セッツァーである。
「ん?どうした?セッツァー?」
そんなセッツァーに気付いたロックが声をかける。
しかし、セッツァーは答えず、まだ呆然と立ち尽くしている。
「キズ男、スロウかストップにかかってたっけ?」
リルムが、エドガーに訊ねる。
「そんなハズはないんだけどなぁ・・・?」
回転のこぎりに着いた返り血をふき取りながら、エドガーは首をかしげる。
「エドガー・・・」
ボソリ、とセッツァーがつぶやく
「え、俺?」
「お前、回転のこぎり禁止・・・」
「はぁ?!なんで・・・?」
『なんで俺がわざわざ男の命令聞かにゃいかんのじゃ』、と、
エドガーが反論する前に、セッツァーはすたすたと、
いや、フラフラと2、3度よろけながら、ファルコンに消えて行った・・・。
「なんだ、アイツ・・・?」
セッツァーの後ろ姿を見つめながら、ロックが呟く。
「はは〜ん」
何かに気付いたのか、リルムがニヤリと笑う。
「こりゃ、恋ですな!」
「はぁっ!?」
男二人が、同時にスットンキョウな声をあげる。
「心配されてんだよ!色男!
 『俺はお前にそんな危ない事はして欲しくない〜』
 って事さ!
 いや〜、愛されてるね〜色男っ!!この、ハート泥棒!!」
精一杯背伸びをしながら、バシバシとうれしそーにエドガーの肩を叩くリルムを見る事ができないまま、
「・・・冗談でもやめてくれ・・・」
エドガーは力無く呟いた・・・。
  

 


 

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