final fantasy VI
『今日の陛下@極秘文書 II』
前書きに代えて
おまけ、そのに。
セッツァーの独り言。
これも、紛う事無き、コメディですよ? いいですね?
如何に掲載する手記は。
過日、某所で語る事と相成った、フィガロ国王、エドガー・ロニ・フィガロ二世陛下の一日を綴った記録に関するものである。
平たく言えば。
あの日の出来事に関して、フィガロ空軍大尉、セッツァー・ギャビアーニが洩らした独り言を、文章に起こしたものだ。
だが、やはり。
くれぐれも、口外はなされぬよう。
口外された場合、陛下の時同様、貴方の背後に、黒いスーツ姿の男が気配を殺して立つ事態になったとしても、当方は関知しない。
某月 某日
昨日の夜。
何時も通り、エドガーの奴と電話をして。
何やかやと、喋り倒したのは、良かったんだが。
結局、今日明日と公休になったって事を、あいつに言い損ねちまって、仕方ねえから、今朝になって、携帯メールで告げてみた。
後になって、休みだったって事がばれると、ふーん、そう、とか何とか言いながら、目が笑っていない笑みを浮かべやがるからな、あいつは……。
平気、とか、気にしてない、とか言う割に、静かに機嫌を損ねてくれる。
大体、昨日の電話でそれを告げなかったのは、今日の午前と午後、首相とマランダ大使夫妻との公務があるって、知ってたからなんだが……。
っとに、未だ、この間の事を根に持ってやがるんだろうか、あいつは。
ああ、絶対根に持ってやがるな。
あの時、公休になったって事を告げなかったのは、あいつが忙しかったからだし、暇を持て余して飲みに行こうとしていた俺を、合コンに引きずってったのは、マッシュの野郎なんだがな……。それにしても、どっからそれが、ばれたんだ……。
──全く、取り扱い注意のラベルが付いてる恋人ってのは、扱いが難しい。
しかも、あいつ自身に、自覚がないと来てやがるから、始末が悪いぜ。
自分が、一寸ばかり繊細な出来をしてるって事に、あいつは気付いてないからな。
その癖、繊細過ぎる造りの癖して、最近、何処かの回転でもおかしいのか、逢える時間が作れそうになると、簡単に城を抜け出してきやがって。
……まあ、あいつの可愛い所だからいいんだが……。
それにしても、あいつ、判ってるんだろうか。
別に、今日みたいに、カフェテラスでのんびりお茶を、ってなシチュエーションが、嫌な訳じゃねえが。
海兵隊の連中に、諦めた様な、困った様な、何処か悟りの境地にも似た、侘びしい視線を見せられると、俺は少々座りが悪くて……。……気付いてねえのかねえ…。あの視線に。
……大変だな、マッシュもシャドウも。
ああ、明日は、あいつを××デパートまで、迎えに行ってやらなけりゃならねえ。
食事の約束もしてるしな。
構わないんだが……俺は、一向に構わないんだが……。
そんなにひょいひょい城の方を抜け出して、平気なのか?
侍従長のじい様の、血圧が上がらなけりゃいいが。
……ま、いいか。俺の関知する事じゃない。
ん? 明後日は、午前の内に空軍ベースに戻ればいいから……ああ、向こうに泊まる事になんのか?
軍服の替えを担いで行かねえと駄目だな。
チッ、食事に出掛ける約束なんざしねえで、デリバリーでも頼む事にすりゃあ良かったな……。
その方が、充分「楽しめた」だろうに。
フン……。飲みに行かず、とっとと引き隠ればいいって奴か。
……と。
そろそろ、あいつから又、電話が掛かって来るな。
どうでもいいが、毎晩の様に電話を掛けて来て、あいつ、良く寝不足にならねえな。
付き合う、俺も俺だが。
お互い、良くもまあこれだけ、喋る事があるってもんだ。
若いねえ、俺も。
──今、皆様に御覧頂いた、この「徒然」は。
ギャビアーニ空軍大尉がうっかり洩らした、惚気、とも言う。
一年戦争の英雄である彼の実体が、このようなものである事は、当方としても少々意外だが、これは、真実の記録だ。
だがしかし。
同い年の恋人を捕まえて、可愛い、だの呟いてみたりする彼は、些か、その…………、と感じるのは、気の所為だろうか。
海兵隊や、マッシュやシャドウと言った、彼等の周囲の者達に掛かる苦労の半分を、彼も担っているのだと、彼に自覚がないのでは、と感じるのも、気の所為だろうか。
まあ、兎に角。
彼の真実の姿の一部でも、皆様に楽しんで頂けたのならば、当方としては幸いである。
やはり、繰り返すが。
くれぐれも、口外なさらぬ様。
END
後書きに代えて
…駄目かも知れない、この人達(笑)。
高校生のお付き合いじゃないんですが……。ああ、書いたのは私か。
…………楽しんで、頂けました?(笑)