……何? 父上も母上も、改まった顔して。
どうかしたの? 何かあったの?
は……? 泉の神様?
…………ああ、あの話。でも、今更、だと思うけど。
うん、それは、ね。僕等だってもう、こんな風に大きくなったから、小耳に挟んだことだってあるよ。
大体ね、父上も母上も。
僕等がたった一年でここまで成長したと云ってもだよ?
僕もセーラも、そろそろ成人してもおかしくないのに、何時までも、男の母上に子供が産めた、なんて信じてるとでも思ってたの?
ママは男なのにどうしてママなの? なんて聴いてた頃とは違うんだから。
一一いいじゃない。例え僕等が、泉の神様だかに授かった子供だったとしたって。母上がお腹痛めて産んだんじゃなくったって。
僕は見た目父上そっくりで、中身母上そっくりなんだし。セーラは見た目母上そっくりで、中身父上そっくりなんだから。
どう見たって親子じゃない。
僕はそれで納得してるし、満足してるけど?
…………はあ? その話じゃない…って?
……………………。
ふうん。このままここにいたら、僕達は急激に年老いて、死ぬって?
……だから?
それが、どうしたって云うの。些細なことじゃないか。
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何よ。父様と母様と、二人揃っちゃって。
らしくなく、神妙な顔されたって、私は大人しくなんかしないわよ。
……え? ああ、知ってるわよ、私だって。
エアネスだって知ってたでしょ? 大体今時、誰が信じるの。男の母様が、気合いで子供産める筈もないでしょ。
父様は気合いで、母様のお腹、大きくしそうだけど。
…あー、はいはい。言い過ぎました。御免なさい。
でも、嘘じゃないと思うわ。
……だからー。私とエアネスが、泉の神様の授かり物だ、なんてこと、とっくに知って…………一一一一。
え? このままだと死んじゃうから? 神界に行くか、って?
…………いや、よ。
じょーーーだんじゃないわ。誰がそんなこと、決める権利があるって云うの。
父様の言い付けでも母様の言い付けでも、これだけは聴かないから。
あのねえ。
私はエアネスと、ずっと一緒にいるって決めたの。
エアネスとも、父様とも母様とも、他の皆とも、一緒って、子供の頃、エアネスと約束したのよ。
だから、嫌。
…………じゃあ、聴くけど。エアネスが、行くって云った? 云わないでしょ?
どうだっていいじゃないの、その程度のこと。
…………怒ったって無駄よ。
私にもエアネスにも、その程度のこと、なんですからね。
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