授かり物


09/01/2002 ダブルで物凄く心配(記載・エドガー)
XXXX年 XX月 XX日

何か、ね。
最近、物凄く、寝覚めが悪いんだ。
……知ってる? ああ、そう……。
それもそうか。毎晩一緒に寝てるんだから…。
もう……心配で、心配で……。
だって、そうだろう? あの子達がここに来てから、未だたった一年しか経ってないって云うのに。
どう見ても、エアネスもセーラも、最低でも15、6、下手をしたら17、8くらいの年齢に見える。
聴いてるのかい? セッツァー。
……異常? ああ、やっぱり君も、そう思うんだ…。
幾ら何でも、成長が早過ぎる。
例えあの子達が、神様の手による子達でも……。
そりゃ、半年前に比べれば、多少は緩やかな成長スピードになって来たかなって気もするけど……このままじゃ、後数カ月もしない内に、あの子達、成人を越えてしまうんだよ?
もしもそのまま、成長……と云うか……老い…が止まらなかったら……どうしよう……。
そんなことにでもなったら、あの子達はあっと云う間に私達の年齢を追い越して、先に逝ってしまうかも知れない…………。
長生きしたとしたって、5、6年しか生きられないってことになるじゃないか、セッツァーっ!
そんなの……耐えられない……。
見る見る内に、私達の数十倍のスピードで老いて行く二人なんて、見たくもない……。
だって、エアネスもセーラも、我々の子供なのだからっっ。
どうしよう……どうしたらいいんだろう……。
なのに中身は、何処か子供のままで……。

一一子供……。あ、それで思い出した。
あ、あのね、セッツァー。
物凄く、云い辛いんだが……。
その……セーラ、のことで……。
見た目はもう、立派な女性だろう? あの子も。
でも、本当に急に大人に、な訳だから……だから、その……あの……。
……もうっ! 察してくれたっていいだろうっっ。
一一判らない? …ああ、そう……。
だからぁっっ。
………………誰か、教えたのかな……。そのぅ……女性の月のもののこと、とか…………一一。
ばあや、ちゃんと、説明してくれたかな…。
私はそんなこと、セーラにもばあやにも、問い質す勇気がないんだが……。
そっちも…心配で…………。

09/02/2002 判らなけりゃ聴くのみ(記載・セッツァー)
XXXX年 XX月 XX日

はあ? 月のもの?
…………あああ、生理か。
ストレートな表現するな…ったって、事実だろうが。
間違ったことは云ってねえぞ。
…んなこと、俺が知るか……。
大体、そういうのは『女親』の役目だろう。
一一判った、判った……。女じゃない、って云いたい気持ちは良く判る。
まあ…ばあ様が、上手くやってると思うがな。
セーラが、その手の類いのことを、お前に聴いて来た訳じゃねえだろ?
なら、ばあ様に聴いてるだろうさ。多分な。
……処で、もしもセーラが初潮迎えてるってんなら、祝ってやらなくていいのか? そういうのは、祝ってやるのが慣例なんだろ?
一一どうして、そんなことばっかり知ってるのかだと? ……以前、誰かに聴いた覚えがあるだけだが……。
その台詞が吐けるってことは、お前だって知ってたってことなんだから、俺が知ってたっていいだろうが、別に。
…………処で……エアネスは、『どうなんだろうな』。
何が、どうなんだって? ……そりゃ、決まってるだろ。男の生理、の話だ。
一一一一……痛てえな。何でそこで、俺が殴られなきゃならねえんだ…。

ああ、それは一先ず、こっちに置いておいて、だ。
エドガー、一寸、出掛けてみないか?
……ほら、一年前に訪れた、例の、霊験あらたかな、神様とやらがいる泉に、だ。
エアネスとセーラがやって来た時、自称『泉の神様』の、随分とすちゃらかな手紙が添えられてたろう?
人間相手に手紙が書けるってんなら、こっちの聴きたいことに答えるくらいの芸当は出来るだろうさ。
あいつらの不可解な部分に関して、人間様の誰にも、答える術がないってなら、こしらえた当事者に問い詰めるのみ、だ。
尤も、又すちゃらかな答えを返しやがったら、タダじゃ済まさねえがな。
……当たり前だろう? 俺だって、あの二人の親なんだから。
……判ったなら、行くぞ。
ウダウダ悩んでたって、埒があかない。

09/03/2002 質疑応答(記載・『天の声』)
XXXX年 XX月 XX日の、『御両親』VS泉の神様の『戦い』より。

霊験あらたかな、泉の畔にての、『御両親』の質問

一年程前、貴方から授かった、我々二人の子供達のことなのですが。
授かった時には生まれ立ての赤ん坊だったのにも関わらず。
一年が過ぎた今、もう、彼等は成人しようかと云う姿です。
この、異常な成長振りは、何故なのでしょう。
出来れば、お答え戴きたいのですが。
又、彼等の『老い』る速度を、人並みに戻す方法があるならば、それも……一一。


後日、赤チョコボが運ぶ手紙と云う形式で、フィガロ城に届けられた、泉の神様よりの回答

あー、久し振りぃ。元気だったかなー。
ママさん、腰が低いねえ。
事情は判ったよ。子供達、えっっらい元気に、成長してるんだってねえ。
んー……それが本当だとすると、ねえ……。
あの子達こしらえる時に、何か間違えちゃったのかも。
男同士の血を引く子供達だからねえ。ちょーーっと、難しかったんだ、これが。うんうん。
だから、その、ねえ……ま、はっきり云ってしまえば、人間には必要ない物……要するに、『こっち側の世界』ではポピュラーな『材料』使ってみたりしたから。
あの双児ちゃん達の成長の速度は、神界の生き物とおんなじ、になっちゃったのかもねー。
御免ねー。
あー……だから、ね。そのう、ね。
そうだって云うなら、君達には申し訳ないんだけど、双児ちゃん達の老い、止められないと思うんだよねー。
神界で生活するなら、極普通のことで、途中で成長も止まるし、こっちの生き物とおんなじくらい、双児ちゃん達も生きるんだろうけど。人間界だと、勝手が違うからさー。
ホント、御免ねー。
でも、これで納得してくれたかなー。


霊験あらたかな、泉の畔にての、『御両親』の質問

てめえ。
お前が作っておいて、与えておいて、その言い種は何だ?
霊験あらたかな神とやらだろうが、お前はっ!
本当にお前が神様の端くれなら、家のガキ共、何とかしやがれっっ。
はい、そうですか、って、納得が出来るかっっ。
あいつらが、俺達の何倍ものスピードで、老いて、死んで逝くのを黙って見てろってかっ!
…………喧嘩売ってるってなら、買うぞ?


後日、赤チョコボが運ぶ手紙と云う形式で、フィガロ城に届けられた、泉の神様よりの回答

うーん、パパさん、物騒な性格してるねえー。
ま、怒りたくなる気持ちは、良く判るんだけどねー。
何とかしてあげたいとは思うけど、こればっかりは何ともならないんだよねー。
……ああ。一つだけ、方法があるよ。
双児ちゃん達が死なないでも済む方法。
要するに、神界の生き物とおんなじ、なんだから。
神界で引き取れば、ちゃーんと、長生きするし、成長も止まるよー。
君達の話聴いてると、ちょーっと選択を急いで貰わないと駄目かなって気、するから。
出来るだけ早く、返事頂戴ねー。
だいじょぶ、だいじょぶ。
双児ちゃん達引き取ったって、悪いようにはしないからー。

09/04/2002 選べる訳がないじゃない(記載・エドガー)

そんな、ね。
あの子達が神界の生き物とおんなじかも知れないから。
だから、このままここにいたら、物凄く早く老いてしまって、死んでしまうから……だから、神界で引き取る、って云われたって……。
納得出来る訳がないじゃないかっ。
だって、そうだろうっ! そう思わないか、セッツァーっ!
あの子達のことを考えたら……手放してやるべきなんだろうけど……。
でもっ!! でも、あの二人は我々の子でっっ。
確かに、我々の子でっ…………。
手放したくなんかない……。何処にも、行かせたくなんかない……。
セーラを、何処ぞの馬の骨に嫁がせるのとは、訳が違うんだからっ!
エアネスが王妃を娶るのともっっ!
そう云う意味で、我々の手から離れるのとは、次元が違うっっ。
どうしよう……。
どうしたらいいんだろう……。そうしないと、あの子達が死んでしまうと云うなら、選択肢なんて本当は、何処にもないんだろうけどね……。
だけどっっ。そんな所に行かせたら、寂しい思いをするかも知れないし、悲しがるかも知れないしっ。
………………それにきっと…二度と……会えない………。
未だ……ここに来て……一年しか経って無いって云うのにっ……。
エアネス……セーラ………。

一一一一……どうしよう……セッツァー……。
……私には、選べな……っ…一一。

09/05/2002 思うことは一緒(記載・セッツァー)

判ってる。
選べるか、そんなこと……。
確かに俺達の関係も、俺達とガキ共の関係も、歪なのかも知れねえが……。
歪なりにも俺達は『夫婦』で、『親子』、だからな。
親が子供を、そんなに簡単に手放せる訳がないだろう?
……だが……。
それで、あいつらが死なずに済むんなら、とも…思う。
親だからって何時までも、子供の傍にいられる訳じゃないし、子供だからって何時までも、親の傍にはいられない。
……俺達は、この世界の生き物だ。
家のガキ共と俺達の、生きる時間が違うなら……手放した……方が……。
一一親がいなくなったからって、ガキが泣き続ける時間なんて、たかが知れてる。
寂しい思いをするのはきっと……最初の内だけで……。
『養父』になる相手は仮にも、神様、とやらだ。
悪いようにはしない、さ……。そうだろう?
それで……あいつらが、幸せになるってんなら……。

一一一一でも………………。


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