final fantasy VI
『今日の陛下@極秘文書 I』
前書きに代えて
おまけ、です。
「今日の陛下」、あの出来事を、陛下の目から見るとこうなる(笑)。
紛う事無き、コメディですよ? いいですね?
如何に掲載する日記は。
過日、某所で語る事と相成った、フィガロ国王、エドガー・ロニ・フィガロ二世陛下の一日を綴った記録に関するものである。
平たく言えば。
あの日の出来事に関して、陛下御自身が綴られた日記、とも言う。
非常に『人間味』に溢れる陛下の手記を、皆様には御覧頂きたい。
だが。
くれぐれも、口外はなされぬよう。
口外された場合、貴方の背後に、黒いスーツ姿の男が気配を殺して立つ事態になったとしても、当方は関知しない。
某月 某日
今日も又、何時もの時間に起きて、何時もの通りの支度をして。
何時も通りの朝食を摂った。
それは勿論、私の健康を気遣って組まれたメニューなのだと言う事は、良く判っているけれども。
食べられる限界の量と言うものも、やはり存在しているのだから、その辺りの事は、是非とも汲んで欲しいと、今朝も思わされた。
どうせ食べられないのだ、無駄になるだけだと言うのに。
……全く。
じいやもじいやで、毎日毎日、同じ小言を繰り返す前に、料理番の者達と、前向きに検討してくれればいいと思う。
年寄りの小言は、判で押した様に同じで、長いから嫌いだ。
材料だって、只じゃない。
私の懐から経費が落ちると言うのなら兎も角、私の三度の食事に関する経費は、国庫から出ているのだし。
税金なんだ、税金。
じいやが、本当にそこの部分を、理解しているのか、少し疑問だ。
今日こなした公務。
午前、首相との打ち合わせ。
午後、マランダ大使夫妻との午餐会。
……言いたくはないが。
私の代になって、初めての議会だか何だか知らないが、開会の宣言の文句など、形式に乗っ取って定められ、変更のしようなどないのだから、どうしてわざわざ、一時間半もの時を掛け、打ち合わせをしなければならないのか。
時間の無駄だと思うのは、私だけなんだろうか。
第一、時の首相との面談なんて、日常茶飯事だし、毎朝毎朝、今日の政治はこうなっていて、こうなる予定で、経済がどうで……なんて、聞かされるだけでうんざりする。
助言を求められるなら兎も角、私には参政権などないのだし、相手の言う事に、一々頷くしかないと言うのに……。
逃れられないのも、良く理解しているつもりだけれど。
やたらと脂ぎった政治家の顔を眺めると言うのは、余り心地よくないのが事実だ。
大体、政治家の言う事なんて、現実的じゃない。
彼等も自ら、会社でも経営してみればいいんだ。
……それから、今日の午餐会の食事。
それは……美味しかったと思うけれども。
私は別に、フォアグラな訳ではなく……。
どうして、あんなにしつこいんだ、マランダ地方の食事と言うのは。
ああ、太りそうだ。
冗談じゃない。
あんまりふくよかになる訳にはいかないと言うのに。
運動している時間もないし。
私の仕事なんて、机に向かうしかないそれだし。
……太ったら、どうしよう……。
彼に、ぶくつさ言われそうだ。
でも。体を鍛える事が仕事の一つである軍人の運動量や脂肪の質と、私のそれとを比べられても、困るのだけれども……。
私だって、太ってる訳じゃないし……軽い方だと思うのだが……最近、自信がない……。体重が増えた訳じゃないし、 どちらかと言えば、減る一方なのだけれど、訳の判らない晩餐会が多くなったから、気を付けた方がいいのかも知れない。
『あんな運動』の所為で体重が減っても、嬉しくないし。
ああ、でも。
今日は、昼間、セッツァーに逢う事が叶ったから、ここに、これ以上の愚痴を書くのは止めておこう。
彼が今日明日、公休だなんて、知らなかった。
もっと早くに言えばいいものを。彼も大概、水臭いんだから。
夕べの電話でさえ、そんな事、一言も臭わせなかった癖に。
朝になって、携帯メールで、休みになった云々と言って来るのは、一寸だけ卑怯だと思う。
じいや達の目を掠めて、城から逃げ出すのは、これで結構、苦労するのだから。
もう、この間の事は、根になんて持ってないし……。それは……少しだけ、気にしていない訳じゃないけれど……。
まあ、それでも……迎えに来て貰って、学生街の近くのカフェテラスで、のんびり過ごした時間は至福だったから、いいとしようか。
マッシュとシャドウのお陰なのか、最近は身辺警護の者達も、こっそり城を抜け出そうと、セッツァーと逢っている分には、見て見ぬ振りをしてくれる様になったし。
でも、本当は、あの頃の様に、誰にも邪魔なんてされないで、一日ゆっくり、彼と過ごすとか……そう言う時間が、欲しい。
うん、でも、明日は。
デパートの写真展を見た後はフリーだから。
そのまま抜け出して、食事に行く約束をしたし。
仕事があるから、マンションの方に泊まると、じいやには告げたし。
夕方連れ出したマッシュも、渋々ながら、色々と手配してくれたから。
明日こそ久し振りに、彼と過ごせそうだ。
又、じいや達の目を掠めるのは、心苦しくない訳じゃないけれど……。
それでも、久し振りの事だし。
ああ、いけない。彼に電話をしないと。
──今、皆様に御覧頂いた、この「日記」は。
確かに日記ではあるけれども。
正しくは、エドガー陛下の愚痴や独り言が綴られている、誠にプライベートなメモ書きの様なものでもある。
何処から入手して来たのか、その出所は御勘弁頂きたいが、国王に即位されたばかりであらせられる陛下の御苦労や、まあその……恋人との親密度合いなども、推察する事の出来るそれだ。
あの日。
侍従長や女官や、その他、城内の者達から得た証言を元にして綴った陛下の日程の裏で。
陛下御自身が何を御考えになられていたか、多少は皆様にも御理解頂けたと思うのだが、如何だろう。
最後に、もう一度繰り返すが。
くれぐれも、口外なさらぬ様、肝に命じて頂きたい。
END
後書きに代えて
この陛下…………変…………(笑)。
まあ、いいや(笑)。
さて、おまけはもう一つ、有ります。
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