〜なんかエロい10のお題〜

10.あなたが欲しい

 

 

 己が顔を挟み込むように両手を付いて、欲情している風に笑むセッツァーに、エドガーは、もう慣れた。
 真夜中、男の己がシーツに背を押し付け、覆い被さる彼を見上げ。
 『抱かれる』のは自分、と思うことにも、彼は慣れた。
 最初の頃はどうしても、セッツァーにそうされること、そんな顔で笑まれること、己が『抱かれる』こと、それが何処か不思議で、照れ臭いような、恥ずかしいようなで、自分を追い求めてくるセッツァーより不自然に眼差しを外し、顔を背け、俯いてしまうしか彼には出来なかったけれど、何時しか、恋人であるセッツァーにそうされるのが、エドガーの当たり前になった。
 ──恋人同士である、との自分達の関係に、違和感を感じることはないが、未だに、躰を重ね合わせる、ということから感じる不思議さも、気恥ずかしさも、彼は捨てていないけれど。
 ……もう、慣れてしまった。
 どうでも良くなってしまった。
 そんなことよりも、欲の色に染まったセッツァーに、躰を開かれ抱かれることの方が、彼には大切になってしまった。
 キスをして、指で、舌で肌を愛され、形ばかりの抗いを見せる腿に手を差し入れられ、恋人以外は誰も知らない奥の奥まで弄ばれて、上がる声も、身も心も、洩れる想いも、全てセッツァーに捧げて、捧げても捧げても奪われて、与えられるモノなど何一つとして失くなっても、それでも奪われ続けて。
 その果て。
 貴方が欲しい、と。
 貴方が欲しい、貴方だけが欲しい、ひたすらに奪われ続けても、ひたすらに捧げ続けたい、貴方だけが欲しい。
 貴方だけを迎え入れて、貴方だけを絡め取って、奪い続ける貴方が私を溺れさせるように、捧げ続ける私も貴方を溺れさせて。
 私が貴方の虜であるように、貴方も私の虜として。
 奪い続ける貴方の傍に、捧げ続ける私は在りたい、…………と。
 それだけを思い続けるひと時が、エドガーの中で、価値を得てしまった。
 欲の色に染まったセッツァーに、躰を開かれ抱かれることの方が、彼には。


 貴方が欲しい、貴方だけが欲しい、ひたすらに奪われ続けても、ひたすらに捧げ続けたい、貴方だけが欲しい。
 ──あなたがほしい。
 ──あなただけがほしい。
 あなたはわたしのものだから。

 

End

 

 

 

後書きに代えて

 

 温くてすいません……。
 でも!
 お題は完走ー!
 ──皆様に、お楽しみ頂ければ幸いです。

 

   

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