…………………………それより。

龍麻との、二十日と少しの別離を経て、封龍の村に京一が戻って来てより。

暫くの時が流れた。

丁度、祖国日本の東京で、染井吉野が満開になる頃。

四年前の、一九九九年、二人が故郷を飛び出した頃。

長らく世話になった、その小さな小屋を綺麗に片付け、龍麻と京一は、封龍の一族の村より旅立った。

発つことを、彼等は誰にも伝えなかった。

この場所を離れようか、とぼんやり思い始めた頃から、龍麻は誰かに頼る路を捨てたし、劉が日本に戻るのを待ってから、旅に出よう、と言い出した京一の考えは言わずもがなだ。

暦が三月に入ってより暫く、『この先』を本当にどうするかに関する言い争いが、二人の間になかった訳ではないけれど、それでも彼等は、ひっそり、『これまでの場所』を発って、自分達だけで行ける所まで行こうと決めた。

二〇〇三年の冬に起こった出来事は、何一つ解決などしていなくて。

先など、これっぽっちも見えなくて。

もしかしたら一生、問題は解決されず、愛の言の葉のやり取りも、一生、交わされることはないかも知れなくて。

唯ひたすらに、流転だけを繰り返すかも知れなくとも。

それでも今は、と。

彼等は旅立った。

二度目の、人生と運命を決める旅に。

────だから、これより又、時は流れる。

彼等の、人生と運命を決める旅の物語も流れる。

二〇〇四年、秋まで。

To be continued...

The next stage is kamiyoshi educational institution high school.

後書きに代えて

えー、このお話は、高校三年・春の出逢いから、約五年掛けて、やっと恋愛モードに辿り着いた、うちの京一と龍麻の話の、言ってみれば『幕間』みたいなものなので、「え? ここで終わり?」な感もありますが、「幕間みたいなもんだからー」ということで、一つ。

……京一に、悪気はないのですよ。これっぽっちも。京一も龍麻も、悪くないんだけどね。

お互い、最悪のタイミングで、えろっちいことしちゃったね、って奴で……(目線逸らし)。

──えー、そういう訳で、このお話は、『九龍妖魔学園紀』の方に傾れ込みます。

宜しければ、そちらもお付き合い頂けましたら幸い。

九龍の方は、カレー星人と宝探し屋さんがメインですが、京一&龍麻も、かなりの勢いで傾れ込みますんで。

──それでは皆様、宜しければご感想など、お待ちしております。