後書き代わりにお送りする、幻想水滸伝II語り(ルカシュウ限定)

今だから白状致しますが。

幻想水滸伝、と云うゲームを私が知ったのは、ニ年程前(もしかしたらもっと前かも知れない)の事でした。

友人が教えてくれたんです。楽しいゲームがある、と。

但。

一寸、コ●ミさんの、幻想水滸伝企画段階に於ける、とある発言が、私はひじょーーーーーに気に喰わなかったので、やってみて、と云われても、ふーん、と云いつつ、誰がやるか、そんな会社のゲーム、と思っていたのですが。

とある日。

別の友人とゲーム談義をしていた時に、幻水の話が出て、楽しいからっっ! と、その友人にも勧められ。

とある日には、又々別の友人とチャットで語らい中、イケる、あのゲームは、と云われ。

発売元の姿勢は気に入らないままでしたが、いい加減、興味津々リミットが限界振り切ってしまっていた海野、じゃあ……(渋々)、なんて風を装い、手を付けました。

…で、やってみたら、楽しかったんですね、これが又。

2をクリアし、データの引き継ぎが出来るなら、と1に遡り、又、2に舞い戻り。

その当時(……今も、ですが)、セツエドどっぷりだった私は、「嵌る訳ないじゃな〜〜〜〜い♪」と云いつつ。

青赤騎士ずをメインとした小説を書いてしまいました。

ええ、惚れたんです、青赤に。

ですが。前書きにも書きました様に。

性悪キャラを愛してしまう傾向のある私は、永遠に爽やかな熟年夫婦(笑)、の様な騎士ずのお二人以上に、シュウさんに惚れてしまいました。

最高に、性格の悪い軍師様だ、軍師は、こうでなければアカン、と(笑)。

なので、ニ度目のクリアを終えた後、クライブイベント達成に挑戦! と再びコントローラーを握った時、自然、シュウさんに着目してプレイをする事と相成り。

プレイ中に、ふっ…………と。とある疑問にぶち当たりました。

────ここから先、私が語る事は。

色眼鏡、200%で語られている事ですので、ゲーム中の事実と差異を生じても、お許し下さい。

……兎に角。

色眼鏡マックスでシュウさんの動きを追っていた私は、疑問を持ったのです。

ええ、或る意味、ゲーム中で彼が最も輝く(笑)、ルカ様との決戦シーンで。

──ゲームをプレイした方を前提にしてお話しますので、ネタバレかとは思いますが……ルカを、湖の畔の丘の上に、追い詰めた時。

大木に掲げられていた木彫りのお守りを、ルカは手に取ります。そして、中を開いて、閉じ込められていた螢を、逃がしますね。潰しもせずに。

一方、その付近の茂みに潜んでいたシュウは。その、螢の放つ明かりを目標に、部隊に命じて、弓を放たせました。

………このシーンを見て。私は、え? と思ったんです。

何故だろう……と。

作中、ルカは、悪鬼の如く、描かれていました。

なのに、何故。

あの時、ルカが螢を潰さなかったのか、私には疑問だったんです。

一方、シュウは、マッシュ・シルバーバーグに、天才、と言わしめる程、軍師としての才に恵まれた、頭の切れる人物として、描かれていました。

なのに、何故。

偶然性に頼る様な策を、シュウが取ったのか、やはり私には、疑問だったんです。

ルカと木彫りのお守りとの関係には、何やらあるらしいですが(と云ううっすらとした噂を聞き齧った。尤も、私は良く知らないので、そんな事実関係はブッチ)。

妹ジルの出生の事や、目の前で見た母親の悲劇の事など、ルカにはルカの、『狂う』に足る理由があったのだと云うのは認めますが、だからと云って、あの場面で、あの残虐非道皇子が、己の死を目前にしても尚、黙って──又は感傷めいたものに浸って、螢なんぞ見上げるとは、私には思えませんでした。

で、シュウ。

あの場所で、螢の明かりを頼りに弓を放たせたと云う事は、あの場所はそれだけ、暗かった、と云う事になります。螢の光が明確な目標と化す程、ね。

と云う事は、確実に、あの場面で、ルカが木彫りのお守りを手に取り、蓋を開け、尚且つ、飛び出した螢を潰さない、と云う確信がなければ、あの作戦は立てられない筈です。

あそこでルカを追い詰めておかなければならなかったから、茂みの中に弓矢隊、潜ませたのでしょうから。

あの伏兵が、保険、とは私には思えなかった。でなければ、部隊を三隊に分ける意味がないから。

だから。

絶対に、目標となる明かりはシュウにとっては必要だった筈なのに。天才、と云われる程頭の切れる軍師である彼が取った手段が、偶然性の高い作戦、と云うのは納得いかない。

………と云う事は。

シュウは、ルカがお守りを手に取り、中を開き、尚且つ、螢を潰さない、と云う事を、『知っていた』んじゃないだろうか。

──なんて、ね。

色眼鏡マックス振り切って見ていた私は、考えてしまい(色眼鏡を一切抜きにして、人間心理を充分に鑑みた場合は、若干だけ異なる結論が生まれますが)。

だとするならば、この二人、何処かで事前接触があったんだろうな……と相成り。

ルカシュウの話を書こう、と思い立った訳です。

……要するに。色眼鏡で見てしまった私の、あのシーンに関する疑問を納得させる為に、この話はスタートした様なものです(笑)。

でも。

考えれば考える程、この話は、悲劇になって行きました。

先ず、ゲーム中のストーリーに沿う限り、ルカは絶対に、死ぬ。この時点で、悲劇は決定している様なものですし?

ルカとシュウ、と云うキャラを、脳内でいじくり倒せば倒す程、彼等が可哀想に思えてならなかったし。

シュウさんなんて、彼なりの理由で戦って、戦争に勝って。でも、所謂グッドエンディングをセレクトしますと、崇めた盟主は国王になってくれないし、ジョウイとナナミと旅立っちゃうし、切れ者軍師だった、ってだけで、宰相は押し付けられるし。

あのゲームの中で一番不幸だったのって、シュウさんなんじゃないかとすら、思えて来てしまい。

ルカ様はルカ様で。

結局この人は、憎む以外の事をして、生きる事が出来なかったのね、と思えば……まあ、彼の行動は100%別ですが、内面に関しては同情の余地はかなり有りますから、何とか救いでも……とは思いましたけど、ゲームストーリー、ああなので。

可哀想な人達ではあるけれども、brightring-firefry、と云うお話は、悲劇以外の道を辿れませんでした。

本当は、幸せになって欲しかったんですけどね。同人を書く以上は。

唯……このお話の中では、ルカもシュウも、自分の気持ちを正しく把握する事が出来ないまま、お互いがお互いを、そう云う風になりたかったのかも知れない、と見遣って、傷の舐め合いしてるだけですけど。

それでも。

傷の舐め合いが出来ると云う事は、少なくとも、彼等の立ち位置は同じ次元にあり、舐め合える程近くにはいた、のだと、私は思いたいです(やっぱり、色眼鏡マックス)。