親指シフトキーボードの普及の為に その2
 

 日本語と言う言語は。
 キーボード入力に苦労する言語だと言われています。
 そんな日本語をキーボード入力する際に、何故、私達親指シフターが、熱烈なまでに、『親指シフトキーボード』を指示するのか。
 それを、少し、語ります。

 私が、親指シフトキーボードを愛用する理由は、たった一つです。
 己が、文章一一ひいて言えば言葉を考え、それを文字にしようとした時。
 その言葉を考える速度に等しいそれで、文章を入力していく事が出来るからです。
 作家さんや、文筆業の方々に、親指シフトキーボード愛好者が多い理由も、私はそれだと思います。
 考える速度でものを表現する事が出来ない。
 それは、ワープロやパソコンと言った、文明の利器に頼って言葉を表現する時に、致命的だから。
 なら、万年筆と原稿用紙でいいじゃない、そう言う方もいらっしゃるかも知れませんが。
 この現代社会の中で、今どき、万年筆や原稿用紙にばかり頼って、文章を構築する事が出来ないと言うのも、現実ではないかと思うのですが。
 言葉は、生き物です。その瞬間を逃したら、帰って来てはくれません。
 文章を書く事を生業としている方々、文章を書く事が好きな方々には、切実な問題だと思いますね、私は。
 先程も書きましたが、私達の母国に於ける公用語は、日本語の筈です。
 その日本語を、考える速度で打つ事が出来るキーボードがあるのに、何で使わないの?……と言うのが、親指シフターの本音でもあるかと思ったりもするんです。

 それに関して、一寸、MacFan BOOKSから発行されている、『Macの知恵の実』と言う本の中から、一部分を引用してみます。

 

 親指シフトキーボードが、評価を得ている理由は、『真っ当に使えるカナキーボードだから』だと、Macの知恵の実の著者は書いています。
 ローマ字入力と言うのは、発音記号のようなものだから、文字それ自体が音を表しているかな文字を入力するのに、わざわざ発音記号で入力すると言うのは、おかしな話である、と。
 外国人の方にしてみると、日本人はローマ字と言う日本語を入力し、それをひらがなに変換し、更に漢字に変換する。つまり、日本語を日本語に変換してやるのか。変なの一一と言う感想になるのだとも、書かれています。

 一一そう。
 変なんです。変だと思いませんか。
 我々は、ローマ字入力で文章を打ち込む時に、日本語から日本語への変換を余儀無くされているんです。
 疑問に思いません?
 確かに、パソコンはアメリカで開発されたものです。
 だから、アルファベットが基準である、と言うのも、とてもとても、理解出来ます。
 でも、我々は日本人なのに。
 何故、日本語から日本語への変換を余儀無くされるJIS規格のキーボードを使い続けなくてはならないんですか?
 けれど。
 親指シフト(NICOLA配列)キーボードは、カナ入力のキーボードです。
 日本語を打つ為に富士通が開発したものです。
 そして、今までだったら、スペースキーを押す程度の使い道しかなかった親指に、シフトキーを押させる事によって、滑らかな、カナ入力を実現してくれているのです。
 大体、普通のJIS規格のキーボードのカナ入力と、ローマ字入力を比較してみても、理論上は、ローマ字の方が、キーを叩く回数が、馬鹿みたいに多いのに。
 普通のカナ入力よりも、更に滑らかな日本語入力が可能な親指シフトの方が、変換の概念の上でも、入力システムの上でも、私は勝っていると断言します。
 速度の上でも同様です。何と言っても、滑らかですもの。
 一一インターネット上でチャットなどをしていますと、時々、入力早いですね、と、私は言われる事があります。
 敢えて言いますが。
 確かに私はブラインドタッチですが。
 私が特別早いんじゃありません。
 親指シフトだから、早いんです。

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