01/04/2003 抱く側のテクニック
 
 男娼館の女将に、聞いてなかったのか? と。
 至極真面目な顔をして、少しばかり重々しい感じで、女衒が話し出したことは。

 
 あのな。
 あそこってのは、女のアレとは具合が違うってのは、お前でも想像付くだろう?
 ……そう。かなり違うんだよ、何も知らない奴が想像してるのとは。
 あそこの構造ってのは、ま、何だ……あー、要するに……そうだなあ……。
 …………ああ、『巾着袋』。
 あれと、似たような作りだと思えばいい。
 入り口が締まってるだけで、後は、締まる訳でも何でもない、肉の壁があるだけってなモンだ。
 んでな、男とヤルってのは。
 『巾着袋』に、ナニを突っ込むようなモンで。
 入り口しか締まってないから、上手いコトやらねえと、気持ち良くも何ともないんだ。
 相手も、同じ。
 んな所に唯突っ込まれたって、気持ち良くも何ともねえからなあ、慣れるまで。
 でもな。
 ほれ、男には、前立腺ってのがあるだろ?
 そこ、刺激すると、男は簡単に果てるからなー。
 ………………俺が云ってる意味、判るか?
 判らない? 飲み込みの悪い奴だな、案外。
 だからー。
 お前さんも相手も、上手くやらねえと。
 お前さんは巾着袋に突っ込むだけで、??? ってなまま終わっちまって。
 相手は、痛いだけで、唯、構造上仕方なくイきました、ってだけで終わるっつってんだよ、俺は。
 …………こう、な。
 締まる部分ってのをな、上手いこと使って、且つ、相手の『いい部分』ってのを上手に可愛がってやらないと、又、禄でも無い結末で終わるぞー、お前ら。
 まあ、それでも、お前さんはいいやな、入れる場所があるんだから。
 でも、相手はなー。
 唯、突かれるだけでイかされても、良くも何ともねえだろうし。
 でも、前立腺刺激されりゃあ、ある意味、際限なくイくし、ってなもんだから。
 ………………頑張れよ、セッツァー。

 
 一一一一そう、その時、女衒が話し出したことは。
 学習不足のセッツァーを、ゴイン、と打ちのめすには、ちょっち有り余る程の現実を含んだ、誠に素晴らしい助言だった。
 


01/05/2003 抱かれる側のテクニック
 
 (N○○ 今日のお料理 テキストXXページ風に)

 本来ならば。
 殿方を相手にする躰を作る場合。
 出来るだけ、低年齢一一12才前後一一より、『訓練』を始めるのが良いでしょう。
 身体に与えられる後の影響を鑑みた場合、それが、よりベターです。
 ある程度の年齢を越えてより、トライを始める場合は、細心の注意が必要になることを忘れてはいけません。
 では、実践方法です。
 そもそも、開発該当器官は、そう云った目的で使用するようには形成されていないので、まず、指などを用い、徐々に慣らすのが肝要です。
 四・五日程時間を掛け、毎日少しずつ、それを受け入れ、慣れましょう。
 それに慣れたら、一日置いて、次は指二本、と云ったように、挿入する物の太さを増して行きます。
 慣れるまでは、大変苦痛を伴いますが、我慢です。
 尚、何処までの『モノ』を受け入れられるかは、個人差がありますので、無理は禁物です。
 以上の行程が終了したら、次は、逸物にステップアップしましょう。
 いきなり、それは無理だ、と思われる場合は、指よりは太く、逸物よりは細い、道具などを使うのも、方法の一つです。
 道具を使用する場合は、極力、逸物の形に近いものを使用するようにしましょう。
 逸物の、最もはり出した部分を受け入れられなければ、意味がありません。
 又、この際、潤滑油を使うことを忘れてはいけません。
 更には、広げることに慣れるだけではなく、受け入れるモノの『奥行き』に慣れる訓練もしましょう。
 これを繰り返して行けば、括約筋で逸物を締め付けたりすることも可能になります。
 が、余りに『上達』し過ぎ、相手に快楽を過剰に与えるようになってしまうと、相手の動きが激しくなり、裂傷を負うなどの怪我をすることがあるので、注意が必要です。
 実際に、殿方と同衾した際には、己で、己の善き所を探し、把握し、そこへ、相手の逸物を導く努力も必要とされます。
 一一最後に。
 くれぐれも、裂傷などの怪我には、注意を払って、行為を行って下さい。


 一一一一以上。
 己が学習不足を反省したエドガーに、さめざめと泣き濡れ、ふて寝してしまう程の衝撃を与えた、本の記載部分を抜粋。
 ……彼が読んでしまった内容より、言えることは唯一つ。
 日々、努力。
 

01/06/2003 さて、どうしたものか
 
 外野の、勝手且つ個人的な感想を、この場を借りて述べても構わないのならば。
 貴方達、それは知らない方が良かったんじゃ……、な、抱く側に必要とされるテクニックの話と、抱かれる側のテクニックの話をそれぞれ聞いてしまったセッツァーとエドガーは。
 一寸、色々、諸々、挫けそうになっていた。
 片や、飛空艇の中からお空のお星様を見上げ。
 片や、自室で俯いて、絨毯の織り目を数えつつ。
 あー、もー、何か、試練が多過ぎて、嫌になって来ちゃったなー。
 どうでも良くなって来ちゃったなー。
 いっそ死ぬまで、プラトニック・ラブでもいいかなー。
 ……と。
 今日も今日とて、得んでもいい知識を得た二人、陰々滅々と、そりゃあマイナス思考に、己が身を沈めた。
 さすがに、『現実』を見過ぎてしまった彼等に対する同情を、こちら側が一寸ばかり覚えずにいられない程の落ち込みっぷりを披露しながら。
 いじいじと、お二人さん。
 僕達はきっと、神様に見放されてしまったんだ、訳の判らない知識ばっかりが堆(うずたか)く積もって行くだけで、永遠に『弄ばれて』、想いが成就する日なんて来たりしないんだっ! 
 ……なーんてことまで、胸の中で盛大に、叫んでみたりもしたが。
 そこはほら、好きだ、と想いを告げ合って、今日(こんにち)までの艱難辛苦を、売って尚余る程の気合いでこなして来た彼等だから。
 軟弱には出来ていないし。
 めげる、と云う言葉は、あんまり知らないし。
 そもそも、そこで挫折されてしまっても、外野は困るし、そんな情けない子に育てた覚えはありません、ってな事情もあるし、で。
 半ば、こうなりゃ意地だ、ここで退いたら男の沽券に関わると。
 あっさりすっぱりイジイジを止めて、さて、どうしたものかと、彼等はそれぞれ考え出した。
 一一一一だが、深く考えることもなく。
 悩む必要もなく。
 彼等が取るべき打開策は、たった一つだ。
 エドガー的に云うならば、『ナニ』に慣れること。
 セッツァー的に云うならば、『ナニ』に慣れさせること。
 それしかない。
 生涯、プラトニックを貫き通してもいいんだいっ! との境地に達せられない限り、彼等が進むべき道は一つ。
 ……なので。
 ぶっちゃけた話、イジイジから脱却した後も、でもねえ、慣れるって一言で云っても……と、しぶーーーー……い顔をして唸り始めたエドガーは兎も角。
 基本的に自己中属性を持ち合わせているセッツァーは。
 慣れりゃいいんだろ? 慣れさせりゃいいんだろ? と。
 ある意味では開き直って。
 お空のお星様を見上げていた窓辺より離れ、飛空艇の甲板に登ると、ぐわしっと操舵を掴んで、フンッッ! と前を向いて。
 彼は、エドガーのいるフィガロ目指し、お空を駆けた。
 

01/08/2003 成就の為の努力 『愛の合宿生活』 そのいち
 
 たんまりと、それはそれはたんまりと。
 世の中に溢れる、知らないでいた方が幸せだったろうことの一部分、を、まーた、知ってしまった後。
 飛空艇を駆って、お空を飛んで、フィガロに向かい。
 その唐突な訪問に、何事ですかー? と驚きの目を向けて来た城の者達を、ちょっち強引に振り切って。
 執務中のエドガーを訪ねたセッツァーは、開口一番。
「行くぞ」
 と、ペンも掴んだままの、恋人の手を取った。
「え、え……一寸、セッツァーっ!」
 お仕事の最中、無理矢理に立たせられたエドガーに、条件反射で、その手を振り切られても、めげず。
 腕を振り払われた後は、ぐわし、っと肩を掴んで、セッツァーはエドガーを執務室から引きずり出した。
「だーーーからっ! セッツァー、人の話を聞けっ!」
 肩を捕まれ、次いでに腰も抱かれ、エドガーは暴れたけれど。
 そんな『些細な』抵抗は、一切、意に介さず。
 余りの唐突さに、眼前の光景に対して己が目を疑うのみで、国王陛下が連れ去られようとしている図式に、口も手も出せなかった城の者達の前を、スタスタ横切って。
 セッツァーは恋人を、その居城からあっさり、連れ出してしまった。
 ……ある意味、素晴らしいと云うか、何と云うか。
 白昼堂々、一国の王様を『誘拐』するなんて、相変わらず良い度胸をしている、この男。
 …………って、ああ、そうではないか。
 別に、エドガーを誘拐しようと思って、セッツァーは連れ出した訳ではないから。
 例え、それが傍目には、犯罪行為と映ろうともだ。
「……一体、何の真似だい……?」
 一一セッツァーの行動が、犯罪ではないのなら、では、その動機は何処にあるのか、と云う。
 外野が気になって仕方なかったことを、『攫われた』エドガー本人も、気になって仕方なかったのだろう。
 発進した飛空艇の中で、仕方なし、ロビーのソファに腰を落ち着けて、こちらが聞きたくてうずうずしていたことを、タイムリーにエドガーが、セッツァーに尋ねた。
「いい加減、な」
 すれば、飛空艇を、自動航行モードにセットし終えて、ロビーへと戻って来た誘拐犯は。
「…いい加減に、何?」
「いい加減、遅々として進まない、しかも、どう贔屓目に見ても芳しいとは言えない、俺達の関係に、ケリを付けちまおうと思って」
 行動の動機を、さらり、と語った。
「……ケリ? ケリ、ねえ……」
 それは、随分、急展開な発想ですね、と、こちらとしては云いたくもなる、セッツァーの発言だったが。
 ごもっとも、と言えなくもない物ではあったので、云われたエドガーは、判らなくもないけれど、と、一瞬、小首を傾げて考え込み。
 ……が。
「でも、ケリ………って……。ケリを付ける……って……」
 ケリを付けると云うことは、恐らく、ナニに決着を付けると云うことで、ナニに決着を付けると云うことは、あの痛みを乗り越えると云うことで、痛みを乗り越えると云うことは、それに慣れると云うことで。
 アレに慣れる為の過程なんて、一寸踏みたくはないし。
 万が一、慣れる前に、そんなことの決着なんぞを付けられてしまったら……と。
 一瞬にして、それだけの思い巡らせたエドガーは、先日の、初夜失敗、に終わった逢瀬を思い出し、顔面蒼白になった。
「だから、連れ出したんだよ、お前を」
 恋人が、蒼白になった理由を、察したのだろう。
 エドガーの顔色を伺って、セッツァーが云った。
「だから?」
「そう、だから」
「……何が、『だから』?」
 セッツァーの云う『だから』の意味が察せられず、エドガーは訝しげな顔をした。
「前回のアレで、お前の体質は、よーーーー……っく判った。それを乗り越える為には、鍛練が必要なんだって、俺は知った。一一慣れなきゃ駄目だってんなら、互い、慣れるのみだ」
 ……訝しげな顔をした恋人に。
 その眼前で仁王立ちになり、セッツァーは。
 朗々と、考えを語った。
「……………………。まさか、その為に?」
「……そう云うことになるな」
「……本気?」
「マジだぞ、俺は」
 故に。
 セッツァーの思惑を知らされたエドガーは、ソファに腰掛けた姿勢を保ったまま、ぴきりと固まり。
 ぎこちない微笑みを湛えて、問うたが。
 きっぱり、マジです、との返答を、セッツァーからされ。
 エドガーの顔色は、蒼白を通り越して、血の気が失せ。
「……悪い夢だと云ってくれると、ひじょーーー…………に、助かるんだが」
 僅かな間でもいい、現実逃避をさせてくれ、と、遠い目を、エドガーはした。
 

01/10/2003 成就の為の努力 『愛の合宿生活』 そのに
 
 かっぽーーーーーーーん……。
 何処かから、反響を伴う、風流な音がする。
 こんな時に聞くのでなかったら、目など瞑って、一人思いに耽りたいものだが。
 如何せん、間が悪い……と。
 お湯に浸けた珠のお肌をピンク色に染めながら。
 むうーーーーー……っとした顔を、エドガーはしていた。
 
 一一セッツァーに攫われて……もとい、連れられて。
 エドガーが訪れさせられた場所は、スパ、だった。
 療養目的なぞに良く使われる、あれ。
 すんごく判り易く云うならば、温泉、って奴だ。
 ま、この世界でも火山帯の存在は確認されているから、温泉の一つや二つ、かーるく湧き出るんだろうが。
 どうにも、温泉、と云う単語が、
 温泉って……貴方……とか。
 ここは、ドマですか……とか。
 考えさせてしまうのも。
 果ては、現在の二人の状況と相まって、ムフフちっくな事を考えさせてしまうのも、こっち置いておいて……。
 あ、でも、結局お二人さんがやることは、ムフフちっくな事なのか……。
 まあ、いいや。
 兎に角、スパ、いやさ、温泉。
 何がどうあろうと、二人は今、温泉にいる。
 一一ナニに対する障害を乗り越える為の、セッツァー立案のこの『企画』。
 別名、『愛の合宿生活』を送る為に、ギャンブラーが何故ここを選んだのかと云えば、『及ぶ前には体を暖めた方がいいです』と云う、付けてしまった要らん知恵の所為。
 暖める=温泉、と云うのは、余りにも単純過ぎる、直結な思考だな、と云いたくもあるけれど、間違っている訳じゃないし。
 体を清潔に保てる場所があるのは、良いことだし。
 お湯の中で致すと、痛みが和らぐ、と云う、未確認情報もあることだし。
 エドガー的にも何かと『便利』だろうから、合格点を与えよう。
 でも、湯舟の中で余り激しく致すと、湯が『逆流』するだろうから、濃厚なのはお勧めしない。
 誰だって、ムフフの最中に、腹は下したくなかろうから。
 ……って、ああ、話が逸れた。
 一一一一とまあ、そう云った理由で。
 エドガーは今、見た目だけはのーーーんびり、温泉に浸かっている。
 ここから上がって寝屋へと赴けば、試練の時間が待っていると判り切っているから、何処までも、むっつりした顔を崩さずに。
 そろそろ珠のお肌が、ピンク色を通り越して、ユデタコ色になりそうなんだが、と相成っても。
 じーーーーーっと、湯舟に身を沈めたまま、彼は体を固くしていた。
 そりゃあ、本音を云えば、エドガーだって、ここまで来たからには、セッツァーとのコトを果たして一一半ば意地だが一一しまいたいけれど。
 『痛い』、と云うことを、彼は身を持って、知ってしまったので、どうしたって、腰は引ける。
 怖いよー、な感情だって、消えない。
 痛い思いなぞしたくないのは、万人共通だ。
 故に彼は、温泉の中で、じーっと、じーっと、じーっと、じーっと、何処までもじー…………っと身を固くして。
 ま、その結果、当然の如く。
 お約束のように、ぱったり倒れる程、湯当たりをして。
 

01/12/2003 成就の為の努力 『愛の合宿生活』 そのさん
 
 遅い。
 幾ら何でも遅過ぎる、と。
 体を暖めるだけならば、わざわざ行かなくても良かった筈の、共同浴場へと赴いたまま、帰って来ないエドガーを迎えに行こうと、セッツァーは立ち上がり。
 スパ内の、宿泊施設の一室より出た。
 カランを捻って出て来る湯は、内風呂でも共同浴場でも変わりないのだから、内風呂で済ませれば、と云った時、ヤケに渋い顔をして、そそくさと部屋から消えた恋人の態度を思い出して、未だに一寸、臍を曲げつつ。
 急ぎ足で廊下を歩き、浴場の扉を潜り。
 季節の所為か、間もなく夕食、と云う時間の所為か、閑散とした脱衣所へ、彼は足を踏み入れる。
 未だ、浸かってやがるんだろうかと、くるり、視線を巡らせれば。
「……エドガー?」
 各部屋備え付けの、綿のガウン一一ここは、温泉にしか見えないが、あくまでも、建前上は、利用者の健康を改善、又は維持する為のスパであって、各部屋備え付けの衣装は決して、浴衣ではない。誠に残念なことだが。ここは、温泉旅館ではないのだ一一を肩から引っ掛けて、片隅に置かれた藤のベンチにて、ぐっでぇぇぇぇ……とだれている恋人の姿を、簡単に発見すること叶い。
 やれやれ……とその名を呼びながら、セッツァーは呆れの息を吐いた。
「おら、部屋に帰るぞ」
 乱れてますなんてもんじゃないくらいにはだけた格好、もっと端的に云うならば、セミヌード、な格好をエドガーがしているのを、否応無しに意識して。
 美味しいかも知れない、と、ちょっぴし顔を崩しながら、近付いたセッツァーは、エドガーを連れ出す。
 勿論。
 語るまでもないだろう、動けない彼をそこから連れ出す為に、問答無用でセッツァーが選んだ『方法』は、俗に云う『お姫様抱っこ』だ。
 世界中の女性にとっては、されるのも、『見学』するのも、恐らくは夢の一つだろう、お姫様みたーい、な抱っこ。
 が、尤もエドガーはお姫様ではなく王様であって、乙女ではなく男子であるので、そんな抱かれ方、望みもしないだろうが。
 しかーし。
 残念ながら、湯当たりしたエドガーに、今、意識は殆どないので。
 セッツァーにされるがまま、きゃー、いやーん、あの二人ってー、と、見る者が見たら、黄色い声が飛びそうな体勢をキープされて、お姫様ではない王様、部屋に運ばれた。
 一方、セッツァーは。
「どれだけ浸かってたんだか……」
 己と、見る者が見た場合にのみ楽しいことを、存分に堪能し。
 ぽすんとエドガーをベッドに放り出して、苦笑を浮かべる。
 当人的には苦笑な筈のその笑みが、傍目から見遣った場合、何処かだらしなく崩れているように感じるのは恐らく、セミヌード状態だったエドガーが、ほぼヌード、となったからであろう。
 だが、外野は何も云わずにおく。
 どっぷし惚れた相手の裸を眺めて、気分に微塵の変化もなかったら、それは健康で健全な成人ではない。
「大丈夫か? お前」
 一見甲斐甲斐しく、看病してやる振りをしながら、エドガーを、本当のヌードにしてしまう彼がそこにいても、致し方ないのだろう。
 ああ、何て本能に正直なんだ、セッツァー・ギャビアーニ。
 …………そう、だから。
「エドガー? おい、エドガー?」
 温泉に浸かり過ぎて、意識までふやかせた、やっと、ユデダコみたいな色をしていた珠のお肌を、ピンク色にまで落ち着かせた、いやん、ヌード、な格好でいる恋人を見下ろし。
 このまま、戴いちまおうかなあ……。
 と、その時セッツァーが考えたとしても、誰にも何も、言えないだろう。
 そーーっと、エドガーの足を開いいてみたりなんかしちゃったとしても。
 多分、誰にも、何も。
 


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