授かり物


08/27/2002 だってっ!!(記載・お子様ず)
XXXX年 XX月 XX日

マ"……マ"マ"……マ"マ"までが、ぼぐを"じがる"……(訳・ママまでが、僕を叱る)。
ぼ、ぼくだって、なきたくてないてるんじゃないもん……。
せーらがぼくのこと、いじめるからだもん……。
パパのところにいけば、どーしてパパのところにいくのってたたくし、ママのところにいけば、どーしてママのところにいくのってたたくし、じーやとばーやのところにいけば、どーしてじーやとばーやのところにいくのってたたくし…………。
いっしょにあそぼーっていうから、うんっていって、いっしょにあそんでると、『ひくーてーごっこ』、っていって、にかいのまどからおとそうとするしぃぃぃぃっ。
ぼく、わるくないもん……。せーらがわるいんだもん……。
せーらこわいんだもんっ! ママとおんなじかおして、パパとおんなじ目、するんだもんっ!
……えあねすはあたしのものって、どういういみ……? ぼく、わかんない……。
こわいよぅ。どうして、せーらはああなの? どうして、パパそっくりなの?
でも、パハみたいにせーらはやさしくないよぅ……。
……ママぁぁぁぁっ!
うぇぇぇぇぇぇぇっ。

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せーら、わるくないもんっ!
いっしょにあそぼーっていってるのに、すぐにママのトコにげてく、えあねすがわるいんだもんっ!
だって、えあねすは、セーラのだもんっっ。ずっといっしょなんだもん、せーらのだもんっ!
そーでしょっ? パパとママだって、ずっといっしょだもんっ。だから、ママはパパのなんでしょっ? それと、どこがちがうのっ?!
……いじめてなんかないもんっ! いっしょに『ひくーてーごっこ』してただけだもんっ。
だって、ひくーてーはおそらをとぶでしょっ? パパみたいに、ひくーてーの『うんてん』ごっこ、じゃないもんっ。ひくーてーごっこ、なんだから、ひくーてーみたいにおそらとばなきゃだめじゃないっ!
だーかーらーっ! せーらがえあねす、なかせたんじゃないもんっ。えあねすが、いつもかってになくんだもんっ。
パパとおんなじかおしてるくせに、やること、ママといっしょなんだもんっ。いいじゃない、えあねす、ないたらかわいいんだからっっ。
パパだって、ママのこと、いっつもなかせてるくせにっっっっ。それと、どこがちがうのか、せーら、わかんないっっ。

08/28/2002 余りにも、異常(記載・『天の声』)
XXXX年 XX月 XX日の、『御両親』の会話、抜粋。

「……あの、ね、セッツァー」
「何だ」
「これ、見て」
「あん? ……それがどうした? ガキ共の服だろう。エアネスとセーラの。何か、問題でもあるのか? 確かさっき届いたんだったな、ジドールから」
「そうじゃなくって。そういうことが、私は云いたいんじゃないんだ」
「じゃあ、何だよ」
「パパ、ママ、なんてあの子達には呼ばれてるし、呼ばせてるけど、私達は二人共男だから、子供の服のことなんて判らないだろう?」
「ああ、そうだな。だから何時も、その手のことは、ばー様に全て任せてるじゃねえか」
「うん。だからね……私も、仕立てたばかりのあの子達の服を、まじまじ見遣るなんて、一寸久し振りだったんだけど……。やっぱり、こうやって見ると、その……余りにも、異常だとは思わないか?」
「異常? 何処が?」
「あの子達の成長振りが、だよ。幾ら、あの子達が生まれた理由が、『泉の神様の贈り物』とか云うファンタジックなそれだとしたって、あの子達だって我々と同じ、唯の人間なんだから。一一ほら、これが、さっき届いた服だろう? で、あっちに掛かってるのが、一週間前に、おろしたばかりの服。比べて御覧よ。あんまりにもサイズが違い過ぎるって、一目瞭然だから」
「……何だ、エドガー、お前今更んなこと云ってんのか? そんなの、今に始まったことじゃねえだろうが。あいつらがここにやって来て、そろそろ、半年だが。逆を云えば、未だ半年、なのに、もう、五才児並みの体格してやがるんだぞ、連中。頭の中身はどうだか知らねえがな」
「…判ってる。……充分、判ってるんだけど。だけど……こうやって、あの子達の服とかね、まじまじ見てしまうと、ね……。一一大丈夫なのかな。本当に、何にも問題、ないのかな」
「医者に診せたって、どっこも異常はねえんだ、平気だとは思うがな。そもそもが、神様からの贈りもの、てな『代物』なんだから」
「でも……」
「気持ちは良く判る。心配なのは、俺も一緒だ。だが、見守ってるしか出来ねえだろう? 現実問題」
「まあ、ね……」
「それよりも、夕べあいつらに、真顔で尋ねられたことに、何て答えるかって問題の方が、今の俺には切実だ」
「夕べ? …………ああ、あれ、ね……」
「ああ。アレ、だ。とうとう、不思議に思い始めやがった、あいつら。『ママは男なのにどうしてママなの?』……って云われてもな…」
「云われてしまったねえ……。一一何て答えようか。私が産んだ、とは言えないし…」
「…………だな…。あいつらのことだ、そんな嘘を告げたら、男の人には子供は産めない、とか聞き返してくるぞ」
「私も、同感だ。…………あれ? …ってことは……まさかと思うけど……あの子達、『判って』、それを尋ねてきてるのかな」
「冗談。幾ら何でも、そうだったとしたら、怖いぞ……」
「………………御免。私は、その、『怖い現実』を想像してしまった…」
「…………………………」

08/29/2002 さいっこうにギャグだわ(記載・セリス)
XXXX年 XX月 XX日

ねえ、一寸っ! 聴いてっ、ティナ、聴いてってばっ!
見ちゃったのよー、聴いちゃったのよーっ!
もう、おっかしくって可笑しくって……。
……え? あああ。何がそんなにって?
一一それがね。
昨日だったかしら、一昨日だったかしら、双児ちゃん達の『御両親』がね、やけに深刻な顔して悩んでるから、あら…どうしたのかしらって、聴いてみたの。
そうしたらね。
「どうして、ママは男なのにママなの? って子供達に聴かれて、その返答に窮してる」
って云ったのよ、あの二人。
あら……そう……。それは、難題ね、なーんて返して、私、その場から逃げて来ちゃったけど。
その時も、私、笑いを堪えるのに必死だったのよ。
だって、そうでしょう? しんっっけんな顔して、そんなこと云うのよ?
馬鹿よねー……。
良く考えてみれば、判ることじゃないねえ? 一歩間違えば、自分達の関係そのものが、冗談みたいなものでしかないのに、ママが男であることを、どうやって説明しようって、もの凄い勢いで悩んでたのよ、あの二人。
考えることそのものが、冗談にしか映らないって、判らないのかしらねえ。
正直に云えばいいと思わない? コウノトリならぬ、赤チョコボが運んで来たから、ママが男だって問題ないんだよって。嘘じゃないものねえ。
……でね。
ああ、お馬鹿な人達、って、懸命に笑い堪えながら、昨日だか一昨日だかは、それで終わったんだけど。
今日ね、見ちゃったのよ、私。あの二人が、子供達捕まえて、何でママもパパも男なのかって説明してるトコ。
何て云ったと思う?
「愛の力」
……ですって。
も、私、柱の影で、爆笑しちゃったわよ。
「世の中には、男の人だとか、女の人だとか、そんなこと関係のない世界があって、パパとママは、その、『関係のない世界』に生きてるから、問題なんかないんだ、パパとママは、ちゃんと愛し合ってるから、神様がお前達を寄越してくれたんだ」
……ってなことも、真顔で云ったのよ、あの二人。
さいっこうだわ、彼等。
『性別が関係ない世界』って、何なのよって感じよねー。
愛し合ってるって云うのも、神様が…って云うのも嘘じゃないけどね。
でね、ティナ。そうしたらね。
エアネスもセーラも、きょとんってした顔になって。
ふうん……って頷いた後に。
「じゃあ、エアネスとうんと仲良くしたら、神様、セーラにも赤ちゃんくれるってことだよね。何時くれるの? 赤ちゃん」
……って、セーラ、言い出しちゃって。
あの二人、又、頭抱えてたわ。
柄にもなく、愛の力、なんて、くっっっっさいこと云うから、そう云う憂き目に遭うのよねええええ。

08/29/2002 ある日のフィガロ国王御一家
(撮影Hayakawa写真館)

08/30/2002 約束(記載・『天の声』)
XXXX年 XX月 XX日 

推定年齢10才前後に到達した、お子様ずの会話より(但し、オツムの中身も10才前後か否かは不明)。

「ねえ、エアネス」
「何?」
「この間、パパとママが云ってたこと、覚えてるでしょ?」
「……? どの話?」
「だーかーらー。どうして、ママは男なのにママなの? って、教えてもらった時のお話」
「ああ。あれなら、ちゃんと覚えてるよ。うん」
「結局あの後、なら、あたしとエアネスの間にも赤ちゃんは来るの? って聴いても、パパもママも、ちゃんとした答えはくれなかったけど。あたしは絶対、間違いないと思うのよ。でなきゃ、おかしいもの。ばあやが教えてくれたことと、合わないもの」
「ばあやが……。あああ、あれ? 普通は、女の人の処に赤ちゃんは来るんですよって奴? でもばあや、僕らのパパとママは特別、って云ってたじゃないか」
「あたし達だって、『特別』になればいいでしょ?」
「……そう云う問題じゃないと思うんだけど……」
「どうしてよっっ。だって、パパとママに、あたし達って子供が出来たのは、愛の力だって云ってたじゃないっ! なら、あたし達だって問題ないでしょっ。エアネスは、あたしのなんだからっっ」
「まーた云ってる……。僕は物じゃないし、第一僕らは「きょうだい」なんだよ? どっちが兄なのか、どっちが姉なのか判らないけど。兄弟姉妹は結婚出来ないって、じいやに教えてもらったじゃないか」
「……いいのよっっ。エアネスは、あたしのなんだからっっ。誰にもやらないのっっ。ずっと一緒ったら一緒なのっ。判るっ? ずっと一緒ってことは、パパとママみたいにならなきゃ駄目ってことなのっっ」
「あのね、セーラ…………」
「……口答えすると、ぶつからね」
「………はい…」
「兎に角ね、あたしはもう、そう決めてるのっ。ずっと前から、決めてるんだから」
「でも……ずっと一緒って云ったって……」
「…男の癖に、くどくど、しつこいわねえっ。……じゃあ、こうしましょ。『皆、一緒』、ならいいでしょ? パパもママも、他の皆も。皆と一緒で、エアネスも一緒、なら、いいでしょ? で、パパとママの云った、愛の力って云うのが本当なら、赤ちゃん届けてもらうの」
「………………何か、一寸違う気もするけど……。まあ……皆一緒って云うんなら……。いいよ。僕だって別に、セーラのこと嫌いじゃないもん。あんまり僕のこと苛めないでねって思うけど」
「あたしが何時、エアネスのこと苛めたのっっ。失礼しちゃう。一一なら、約束ね。判った? 約束なんだからね。ずーっと一緒よ、あたし達」
「うん。約束。パパもママも、他の皆も。ずっと一緒にね」


08/31/2002 あれから一年(記載・ロック)
XXXX年 XX月 XX日

いよっ、お子様達。
久し振り。でっかくなったなー。
よくもまあ、あれからたった一年しか経って無いってのに、そこまででっかくなったよな。
本当の年齢なんて、判らないけどさ……そろそろ、15……いや……17.8……? まあ、その辺の何処かだよなあ。
どう見たって、その辺の年齢。
……あー……。だから、さ。
その、おじ様って呼ぶの、止めてくれないかな、セーラ。
マッシュはいいよ、マッシュは。お前らの本当の叔父さんなんだから。
でもね、俺はね、十代後半の少年少女に、おじ様、とは呼ばれたくないの。判る? 俺は未だ、ニ十代なんだよっっ。
どーーして、ティナとセリスは、「ティナさん、セリスさん」とかお姉様扱いなのに、俺等だけ、おじ様扱いなワケ?
……だから兎に角、改めろっつってんの。その呼び方。
処でさ、エアネス。
お前最近、あっちこっちの女の子と、ヤケに仲いいんだって? やるねえ。さっすが、エドガーの息子、なだけあるよなあ。
……違う、なんて、謙遜することないだろ。聴いたぜ、噂。
姿形がセッツァーそっくりで、中身がエドガーそっくりだったら、そりゃあモテるわ。小さかった時は、ママ、ママって、ピーピー泣いてたってのになあ。
あ、悩み過ぎるトコまで、エドガーの奴に似るなよな。
…まー、それにしても良かったじゃん。
え? だって、そうだろ? セーラもいい加減、エアネスは私のっ! って、止めたってことだろ?
そうだよな、セーラもさあ、エドガーの女版みたいな、綺麗な女の子、になったんだしさ。
あれだろ? お前らの噂聞き付けた色んな男から、言い寄られることも多いって噂だから、セーラだってそろそろ、エアネスーって騒ぐのも、エアネス苛めて満足するのも止めた…………って……。
一一おい、お子様達? 何で、喧嘩始めるんだ?
…………え? そんなの聴いて無いって、セーラ?
…エアネス、どうして俺のこと、睨む…のかなぁ…?
あ。もしかして。
エアネスが、昔のエドガーみたいにあっちこっちで……って云うの……喋るのはマズかった……ってこと……一一一一。
……悪い。俺、急用思い出した。
じ…じゃ、又、後でなっっ。


…………ヤッベー……。
余計なこと云っちまったかな…。
一一それにしても。
一年で、馬鹿みたいに『見た目』は成長したけど、中身は相変わらずだってことか……あのお子様達は……。
何か、あいつらの両親の『痴話喧嘩』、真似てるみたいだぜ……。
あー、やだやだ。
セッツァーもエドガーも、子供達に一体、どう云う教育したんだか。
ま、親の背中見て、子供は育つって云うしねー。
一一あっ。何か、あの二人の喧嘩、騒ぎが大きくなってる。
………………俺、しーらないっと。


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