──2005年 3月31日──

──京梧──

〜春期休暇最中の、真神学園へ向かう道すがら〜

………………………………龍斗。

あれから、二十五年が経った。

二十と五年の歳月が。

俺達の頃から数えて百年の上、生きてやがった柳生の野郎も逝った。

お前や、俺や、俺達の仲間の子孫連中がケリを付けた。

それももう、六年も前の話になる。

頼りない馬鹿餓鬼共に全てを託すしかなかったのは、正直、今でも少しばかり納得がいかない。

どうしようもないことだと判っちゃいる。俺は本当は、疾っくの昔におっ死んでた人間だってのも、判ってはいる。

今の世に在る筈無かった俺には、時代って奴と深くは関われよう筈も無いってことも。

何時か、美里が言っていたように、誰かが死んでも時代が変わっても、想いだけは受け継がれて、それは、ヒトにとっての真実の永久とわで、だから……、と思いはするけれど。

でも、俺は、この時代に生きているから。

望みもしないことだったが、この時代で確かに生きているから…………。

……そして、お前も。

────すまない、繰り言になった。

今、季節は春だ。

甲州街道のあの茶店で、お前と出逢ったあの時と同じ春。

今年の江戸の桜は、格別に見事だ。

今日、まるで江戸中の桜が示し合わせたみたいに、一度に満開になった。

慶応二年の、あの時のように。

──────俺は、お前に逢えるだろうか。