禁断の恋愛10題 +Ver.A+
4. 割り切ることの出来ない、感情
何も彼もを忘れて、何も彼もを認めて、受け入れて、そうして。
僕は、『こんな僕』であるにも拘らず、君を愛しているのだと、そう肯定してみるとする。
そうしてしまえば恐らく、どうしようもない程僕は楽になれて、この重たい胸は晴れるのだろう。
君が、こんな僕を受け入れてくれるか否か、それは別問題だから、僕が僕の中の全てを認めても、又、別の憂いを抱えることになるのだろうが、それは多分、今僕が抱えている憂いよりはマシな筈で。
そうなるのは、奇跡に等しいだろうけれど、もしも僕のこの邪な想いに君が応えてくれたなら、想い合う僕と君を、そっとしておいてくれる者達も、出て来るかも知れない。
見て見ぬ振りをしてくれる、心優しき者達が、現れてくれるかも知れない。
そして、僕の心の内も、僕を取り巻く周囲も、そうやって変わって行ったら、何時かは穏やかに、全てが、丸く。
…………けれど……けれど。
万に一つの奇跡が起きて、何も彼もが、そう流れたとして。
それでも、何がどうなっても、たった一つ。
僕には、ソウルイーターという、『不変』のモノがある。
不老、という意味での『不変』ではなく。
僕の愛するモノを、紋章が、悉く喰らう、という『不変』。
……だから。
例え僕が、僕自身の何も彼も認めて、受け入れて、胸の内を軽くし。
僕達を取り巻く全てが、奇跡のように、望ましい変貌を遂げたとしても。
『不変』は、不変であるから。
…………解っているんだよ、『君』。
僕にだって、解っては、いる。
君を愛することは、永遠、僕には叶えられないと。
解っている……つもりではいる。
でも、ね。
だからと言って、もう僕には。
叶えてはならないと、君を想うことを止めるなんて、出来そうにもないんだ。
そんな、綺麗な言葉と綺麗な想い一つで、君とのことを、割り切れたりなんて、もう出来ない。
………………だからね。
……御免ね。
End
後書きに代えて
段々、言い訳も書き辛くなって来たような匂い漂う、この展開……(遠い目)。
──それでは皆様、宜しければご感想など、お待ちしております。